貿易用語集

貿易用語集(あいうえお順)

根本的な貿易用語をできるだけわかりやすく説明してみました。
少しでも皆様のビジネスにお役にたてれば幸いです。

た行

タンクコンテナ(Tank Container, Tanktainer, ISO Container, Isotainer)

海上貨物用コンテナの一種であり、主に液体貨物を輸送するのに使用される。ISO(国際標準化機構)規格に従って製造されているため、ISOコンテナ(ISOタンク)とも呼ばれる。内部は通常ステンレス製で、メタルのフレームの中に納まっている。ドライコンテナと異なり、40フィートのサイズのものは存在せず、20フィートのみである。タンクコンテナでの輸送は、専門のオペレーターに依頼するのが一般的である。

単独海損(Particular Average)

船舶が事故に遭遇した場合の損害や費用について、荷主などが単独で負担すること。一方、損害や費用を利害関係者間で按分し、共同で負担することを共同海損という。

着荷通知先(Notify Party)

B/L(船荷証券)の記載項目の一つで、貨物が揚げ地に到着した際に船会社が通知する先。

仲介貿易(Triangular Trade, Intermediary Trade)

外国から外国への貿易を仲介すること。例えば、日本の会社が、中国から貨物を買ってアメリカに売るような取引。貨物は直接中国からアメリカへ輸送されるが、決済は日本の会社が介在する。三国間貿易ともいう。

通貨変動割増料率(CAF, Currency Adjustment Factor, YAS, Yen Application Surcharge)

海上輸送において、為替レートの変動で生じた費用について、船会社が通常の海上運賃とは別に荷主に請求する割増料金。海上運賃がドル建てのため、円高になり円ベースでの実入りが減少したために導入された。通常運賃の値上げは荷主の反発を招くが、円高要因は船会社の営業努力以外の要因として、荷主に説明しやすい一面がある。

通関(Customs Clearance)

貨物を輸出または輸入しようとする者が、税関に必要事項を申告し、税関から輸出・輸入の許可を受けること。

通関業者(Customs Broker)

貨物を輸出または輸入しようとする者からの依頼(委任状の提出が必要)に基づき、輸出入の許可を受けるために必要な手続き代行を専門的に行う会社。税関に対する輸出入申告、輸入関税・消費税等の納付、不服申し立てなどを依頼者の名の下で(代行として)行うことが認められている。通関業法により、通関業を営むためには通関士の設置など必要事項を満たし、その場所を管轄する税関長の許可を受ける必要がある。

通関業法(Customs Business Act)

通関業者に関して必要事項を定めた法律。

通関士(Licensed Customs Specialist, Registered Customs Specialist)

国家資格である通関士試験に合格した上で必要事項を税関長に届出し、通関業務に従事する人のこと。通関業法により、通関士の資格のないものが通関士という名称を使用することは禁じられている。近年の通関士試験の合格率は約10%である。

通知銀行(L/C Advising Bank)

信用状発行銀行(L/C Issuing Bank)が発行した信用状(Letter of Credit, L/C)を受取り、輸出者である信用状の受益者へ転送する銀行のこと。通常、輸出者の国の銀行である。

積地港(Port of Loading)

貨物が船に積み込まれた港。船荷証券(Bill of Lading, B/L)に記載がある。

ディーオーフィー(Delivery Order Fee, D/O Fee)

船会社がデリバリーオーダーを発行するための手数料。通常、荷受人(輸入者)が船会社に支払う。2014年より消費税が課税されることとなった。

ディスクレ(Discrepancy)

輸出者が銀行に提出した船積書類の内容が信用状(Letter of Credit, L/C)の内容と一致しない箇所があること。信用状取引は非常に厳密な書類取引であり、手形代金支払い拒否のリスクがあるため、軽微なスペルミス等の不一致も発生させるべきではない。ディスクレが発生したときは、①信用状の内容変更(アメンド)を輸入者に依頼②ケーブルネゴ(ケーブルネゴ参照。)③エルジーネゴ(L/G Negotiation)にて買取(エルジーネゴ参照。)④取り立て扱い(Collection)にて発行銀行へ書類送付(取り立て扱い参照。)などの処置を取ることが多い。

ディテンション(Detention)

コンテナ単位で貨物を輸入の際に、コンテナヤード(CY)から引き取った実入りコンテナ(中に貨物の入ったコンテナのこと)から貨物を引取った後、空コンテナを船会社指定のコンテナヤード(CY)又はバンプール(VP)に返却するまでの日数(フリータイム)が規定日を超過した場合に発生する延滞料金。各々の船会社により超過一日当たりの料金が決められている。

手形引受書類渡し(Documents against Acceptance, D/A)

貿易における決済方法の一つ。輸入者が手形期日(30日後、90日後、180日後など)に支払いを引き受ける(Acceptance)約束することを条件に、輸出者から輸出地の銀行(輸出者の銀行)を通じて輸入地の銀行(輸入者の銀行)へ送られた船荷証券原本(Original B/L)を含む船積書類一式を受け取ることが出来、すなわち貨物の受け取りが可能になる(この時点で手形代金は支払わない)。予め合意された手形の決済期日(30日後、90日後、180日後など)が来ると輸入者は銀行へ手形を決済する必要があるが、信用状(Letter of Credit, L/C)付き手形と違い銀行に代金回収の義務はない。そのため、輸出者にとってリスクの高い決済方法であり、信用力の高い輸入者との決済に使われるのが一般的である。

デスクレ(Discrepancy)

ディスクレ参照

デバン(Devanning)

デバンニング参照

デバンニング(Devanning)

コンテナから貨物を取り出すこと。バン出しともいう。

デマレージ(Demurrage)

貨物の輸入の際に、本船からコンテナヤード(CY)やコンテナフレートステーション(CFS)に搬入されたコンテナや貨物が、一定の無料保管期間(フリータイム)の期限を過ぎても引き取りがされない場合に発生する超過保管料。船会社がコンテナや貨物の早期引取りを促すために設定している。

デリバリーオーダー(Delivery Order, D/O)

輸入の際、船会社が荷受人(輸入者)に発行する書類で、荷受人はデリバリーオーダーと引き換えに貨物を受け取ることが出来る。原則、船荷証券(B/L)を船会社に差し入れた後に発行されるが、船荷証券がまだ荷受人に届いていない場合は、保証状(L/G)を船会社に提出することでデリバリーオーダーの発行を受け、貨物を引取ることもある。

デリバリーオーダーフィー(Delivery Order Fee, D/O Fee)

ディーオーフィー参照

通し船荷証券(Through Bills of Lading)

スルーB/L参照

ドキュメンテーションフィー(Documentation Fee)

ドックフィー参照

特定原産地証明書(Certificate of Origin under Economic Partnership Agreement)

EPA (Economic Partnership Agreement、経済連携協定)に基づいて発給される原産地証明書のこと。日本から輸出される貨物が輸入国税関で通常の関税率より低いEPA税率の適用を受けるために必要な証明書である。輸出しようとする貨物がそれぞれのEPAにて定められた原産資格を満たしている場合に、経済産業大臣が指定した発給機関である日本商工会議所で発給を受けることができる。各地の商工会議所が発給している一般的な原産地証明書(非特恵原産地証明書)とは利用目的などが異なり、毎々の船積ごとに取得する必要がある。

特定輸出者(Authorized Exporter)

セキュリティ管理とコンプライアンスの体制が整備されているなどの諸要件を満たしているとして税関長の承認を受け、簡易な輸出通関手続きが認められた輸出者。輸出貨物を保税地域に搬入すること無しに、自社の倉庫や工場で輸出許可が受けることが出来るようになるため、通関手続きにかかる時間短縮や物流コストの削減が可能となる。

特別特恵関税制度(GSP - LDC, Generalized System of Preference - Least Developed Countries)

特恵受益国のうち、特別の便益を与えることが適当であるものとして定められた後発開発途上国(LDC, Least Developed Countries)の国々からの産品に対して一部の例外品目を除き、数量無制限で関税を無税にする制度。LDC無税無枠措置。

特定用途免税(Duty Exemption for Goods for Scientific Research or Education)

学免参照

特恵税率(Preferential Rate)

関税暫定措置法で定められている税率。基本税率暫定税率と並び国定税率の一つであり、南北問題解決の一手段として、先進国が開発途上国からの輸入品に対して通常より低い税率が適応される。

ドックフィー(DOC Fee)

船会社が船荷証券(B/L)などの書類を発行するための手数料。2014年より消費税が課税されることとなった。

ドックレシート(Dock Receipt, D/R)

船会社のコンテナヤード(CY)やコンテナフレートステーション(CFS)に貨物を搬入する際に、荷送人(シッパー)の代理で海貨業者(フォワーダー)が作成し、船会社に提出する貨物の明細などが記された書類。船会社はドックレシートを基に船荷証券(B/L)を作成する。

ドライコンテナ(Dry Container)

リーファーコンテナタンクコンテナなどの特殊コンテナでない、一般的な海上貨物用コンテナ。

ドラフト(Draft)

為替手形参照

トランシップ(Transshipment, T/S)

積地港から仕向港まで一つの船で輸送されずに、途中の港で別の船に積み替えること。積み替え貨物量が多い港は、シンガポール、香港、釜山など。

トランジットタイム(Transit Time)

移動にかかる時間。海運では、積地港から仕向港までの所要日数。

取り立て扱い(Collection)

信用状(L/C)取引において、輸出船積書類と信用状の内容とに不一致(ディスクレ)がみつかった場合などの対処法の一つ。買取銀行はまず船積書類を発行銀行に送付し、発行銀行からの入金を待って輸出者に代金を支払う。D/P(Document against Payment)やD/A(Document against Acceptance)など信用状(L/C)無し取引の際にも取り立て扱いになることがある。輸出者に資金的余裕があれば、あえて取り立扱いを選択し、金利負担を節約するために用いることも出来る。

ドレージ(Drayage)

海運においては通常、貨物を詰めたコンテナを陸上輸送することを指す。

トラクタ(Tractor Head)

シャーシを取り付けて引っ張る自動車。トラクタヘッド。ヘッド。(トレーラー参照)

トレーラー(Trailer)

運転手が乗る前の動力部分と後ろの貨物部分が分かれるタイプの貨物自動車(牽引自動車)の後ろの部分。牽引する前の運転席の部分はトラクタという。通常のトラックは前の運転席の部分(キャブ)と後ろの部分がくっついていて離れないが、エンジンを積んだ前の動力部分(トラクタ)と貨物を積む後ろの部分(トレーラー)が切り離しが出来るタイプの貨物自動車をトラクタとトレーラーという。シャーシや被牽引(ひけんいん)車とも呼ばれる。カーブなどで前と後ろが折れ曲がるので、回転半径が小さく、両側4車線程度の道であればUターンも可能である。前と後ろが離れることが出来るため、荷物の積み下ろし(荷役)の作業をするときに、前の動力部分が無くてもよい、などの利点がある。トラクタ(前)とトレーラー(後ろ)ともに法律上に自動車とされているために、それぞれ別のナンバープレートを付けている。