貿易用語集

貿易用語集(あいうえお順)

根本的な貿易用語をできるだけわかりやすく説明してみました。
少しでも皆様のビジネスにお役にたてれば幸いです。

さ行

サーチャージ(Surcharge)

海上輸送又は航空輸送において、燃料費や為替レートなどの要因で生じた費用について、船会社や航空会社が、通常運賃とは別に荷主に請求する割増料金。通常運賃の値上げは顧客の反発を招くため、これらの価格変動要因を各社の営業努力によらない要因であるとして、通常運賃と別建てにして請求する。
燃油サーチャージ(Fuel Surcharge, BAF, Bunker Adjustment Factor)、通貨変動調整係数(CAF, Currency Adjustment Factor)、ピークシーズンサーチャージ(PSS, Peak Season Surcharge)、船混み割増料金(PCS, Port Congestion Surcharge)などがある。

尺貫法による容積の単位。1才は1立方尺(尺=約30.3センチメートル)であるので、すなわち30.3 x 30.3 x 30.3 = 約27,818cm3(約0.0278M3)である。

最恵国待遇(MFN, Most Favored Nation Treatment)

通商条約などにおいて、関税などの優遇処置で他国に与えた一番有利な貿易条件を相手国に恒久的に与えること。全てのWTO加盟国は、全てのWTO加盟国に対し最恵国待遇を平等に適用することが規定されている。例外として、一時的なセーフガードや、経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)が認められている。

最終船積期限(Latest Shipping Date)

信用状(L/C)にて指定されている船積みを完了させなければいけない最終期日。信用状(L/C)を受け取った際にこの期日までに船積み出来るかどうかを確認し、出来なければ買主に信用状(L/C)の期限を延長してもらうように要請する必要がある。最終船積期限を過ぎて船積みを行った場合は、ディスクレ扱いとなり、銀行は通常の買い取りには応じず、ケーブルネゴ、L/Cネゴ又は取り立て扱いにて銀行に持ち込むこととなる。

最低料金(M/M, Minimum Charge)

ミニマムチャージ参照

在来型貨物船(Conventional Vessel, Break Bulk Vessel, Cargo Ship)

コンテナ船に積めない大型貨物や特殊な形状の貨物を輸送する貨物船。クレーンを備えているため、どこの港でも荷役をすることが出来る。コンテナ船登場前から一般的に使用された在来型の船という意味。

在来船(Conventional Vessel, Break Bulk Vessel, Cargo Ship)

在来型貨物船参照

先入れ先出し(First In, First Out, FIFO)

製造業において、先に入庫した原料や製品から出庫することで、常に新しいものが在庫に保管されるようにすること。

指図式船荷証券(Order B/L)

船荷証券(B/L)の種類の一つ。B/LのConsignee(荷受人)欄に"To Order"又は"To Order of XXXX”と記載されている。”To Order of XXXX”は、XXXXの指図人の意。Consignee欄に”To Order”又は”To Order of Shipper”と記載のあるB/Lは、単純指図式B/L、荷送人指図式B/Lなどと呼ばれ、そのようなB/Lに関しては、荷送人(Shipper)は白地裏書(Blank Endorsement)した後に、信用状(L/C)買取銀行や輸入者にB/Lを送付する。

サレンダーB/L(Surrender B/L)

船荷証券(B/L)の処理の仕方の一つ。 船積み地の船会社が発行したB/L原本(Original B/L)の全通に輸出者が裏書することで、船会社が一度発行したB/L全通を輸出者から回収する。輸出者には、SURRENDERED(又はTELEX RELEASE)のスタンプが押されたB/Lが渡されるが、これは有価証券であるB/L原本では無いコピーである。 輸出者はSURRENDERのスタンプの押されたB/Lのコピーを輸入者に電子メール等で送付する。船積み地の船会社は、当該B/Lがサレンダー扱いになった旨を輸入地の船会社に連絡し、輸入者は船会社にB/L原本を提示することなく貨物を引取ることが出来る。サレンダー(Surrender) とは、輸出者が貨物に対する所有権を放棄する(船会社が回収する)の意。本船出港数日で輸入地に到着する中国や韓国といった近海航路の場合には、B/L原本を輸入者に送付するのが貨物の到着に間に合わないためにサレンダーB/Lが利用される。 シーウェイビル(Sea Waybill)と同じく、荷揚港で確実に貨物を正規の荷受人(輸入者)に引き渡すために、B/Lに荷受人(Consignee)の明記される記名式船荷証券(Straight B/L)の形式をとるのが原則である。

三国間貿易(Triangular Trade, Intermediary Trade)

仲介貿易参照

三軸シャーシ(Triaxle Chassis)

コンテナを輸送するシャーシの種類で、車軸の数(コンテナの下にある台車であるシャーシを真横から見た時のタイヤの数と同じ)が三つであるもの。二軸シャーシもある。
三軸シャーシを使用する時は二軸シャーシより重い貨物を積載することが出来る。三軸シャーシによる移動であれば、20フィートコンテナで「コンテナ総重量24,000キロ-コンテナ自重 約2,300キロ(鉄製コンテナの一例。コンテナの自重はそれぞれ異なる。)= 最大積載量 約21,700キロ」となり、40フィートコンテナで「コンテナ総重量30,480キロ-コンテナ自重 約3,800キロ(鉄製コンテナの一例。)= 最大積載量 約26,680キロ」となる。

暫定税率(Temporary Rate)

関税暫定措置法で約500品目に対して定められている暫定的な税率。基本税率、特恵税率と並び国定税率の一つであり、常に基本税率に優先して適用される。

シーウェイビル(Sea Waybill)

海上貨物の運送契約を示す書類であり、運送契約締結の証拠書類、運送物品の受領証などの役割を持つ。船荷証券(B/L)が有価証券であるのに対し、シーウェイビル(Sea Waybill)は有価証券ではないので、裏書による譲渡は出来ない。荷受人(輸入者)は原本を運送人に提出しなくとも貨物の受け取りが出来、事務作業の軽減につながるので信用のある取引先との継続的取引を中心に利用されている。サレンダーB/L(Surrender B/L)と同じく、荷揚港で確実に貨物を正規の荷受人(輸入者)に引き渡すために、荷受人(Consignee)の明記される記名式の形式をとるのが原則である。

シーエフエス(CFS, Container Freight Station)

コンテナターミナルにある施設で、船会社が輸出の小口混載貨物(LCL貨物)を仕向地別にコンテナに詰め、または輸入の小口混載貨物(LCL貨物)をコンテナから取り出す作業を行う場所。ここでの荷捌き料金等は、貨物の体積(M3)または重量(MT)により計算され、船会社が荷主又は荷受人に請求する(CFSチャージ)。輸出の際のCFSチャージは、船賃(Freight)には含まれないFOBチャージの一部である。

シーエフエスチャージ(CFS Charge)

シーエフエス(CFS)参照

事前教示(Prior Instruction System by Japan Customs)

貨物の輸入予定者が、実際の輸入の前に、その貨物を実際に輸入した際の関税分類や関税率などについて税関に対して照会を行い、回答を受けることが出来る制度。文書で照会書を提出した場合、数日から数週間以内に税関から回答書を受け取ることが多い。その回答内容に関しては、当該回答が税関から出された後3年間、輸入申告審査の際に尊重される。

仕出港(しだしこう)(Port of Origin)

貨物が最初に船積みされた港。

シッパー(Shipper)

船荷証券(B/L)等に記載される荷送人。通常、輸出者を指す。

シッピングアドバイス(Shipping Advice, S/A)

輸出貨物の船積み完了後に、輸出者が輸入者に船積み完了を通知する書類。通常、インボイスパッキングリスト等、その他の船積書類と一緒に送付される。

シッピングインストラクション(Shipping Instruction, S/I)

輸出者が作成し、通関を依頼する際に通関業者に送付する書類で、貨物を輸出する際の船荷証券(B/L)の内容の基になる内容が記載されている。通常、インボイスパッキングリストとともに送付される。

シッピングマーク(Shipping Mark)

貿易貨物の外装に表示する英数字及びマークのこと。特に小口混載貨物(LCL貨物)として輸送する際には、原則として貨物の特定のために分かりやすいシッピングマークを包装単位ごとに記載することが必須である。

仕向港(しむけこう)(Port of Destination)

貨物が最終的に陸揚げされる港。

ジェトロ(JETRO, Japan External Trade Organization)

日本に関連する貿易及び投資を促進することを目的に、開発途上国研究・支援、日本企業の海外展開支援、外国企業の日本への誘致促進、海外経済の情報収集などを行う経済産業省所管の独立行政法人。

シャーシ(Chassis)

トレーラー参照

自由貿易協定(FTA, Free Trade Agreement)

特定の複数国や地域で関税その他の貿易障壁をなくすことにより、自由な貿易取引の発展を目指す国際協定。これに対し、経済連携協定(EPA)は、貿易だけでなく、人の移動、投資の自由、知的財産権の保護などを含むさらに幅広い分野のルールを取り決めることで、包括的な関係強化を目指す国際協定である。

ショアリング(Shoring)

貿易においては、貨物が輸送中にコンテナ内で荷崩れがおきないように、角材やベニヤ板などを用いて固定すること。荷主が乙仲などに支払うショアリングの費用をショアイングフィーという。

ショアリングフィー(Shoring Fee)

ショアリング(Shoring)参照

ショートドレージ(Short Drayage)

海運では通常、コンテナヤード(CY)から保税蔵置場など比較的短い距離を、貨物を詰めたコンテナを陸上輸送することを指す。

商業送り状(Commercial Invoice)

インボイス(Invoice)参照

商品の名称及び分類についての統一システム(H.S. Code, Harmonized Commodity Description and Coding System, Tariff Code)

輸出入統計品目番号参照

白地裏書(しらじうらがき)(Blank Endorsement)

船荷証券(B/L)などの流通証券の所有者が、その証券を他者に譲渡するために裏書する際、譲渡される被裏書人を明記せずに裏書すること。譲渡される被裏書人を明記して裏書することは記名式裏書(Full Endorsement)という。
Consignee(荷受人)欄”にTo Order”又は”To Order of Shipper”と記載のあるB/Lに関して、通常、荷送人(Shipper)は白地裏書した後に、信用状(L/C)買取銀行や輸入者にB/Lを送付する。

信用状(L/C, Letter of Credit)

貿易においては通常、商品代金の決済に用いられる商業信用状(Commercial L/C)を指し、貿易取引の代金決済を円滑にするために、輸入者の依頼に基づき輸入地の銀行(信用状発行銀行)が発行する、輸出者に対する代金支払い保証書。輸出者は、信用状で要求されている書類(為替手形、船荷証券、インボイス、その他)を船積地の銀行(買取銀行)を通じて信用状発行銀行(L/C Opening Bank)へ送付し、銀行は信用状と提出された書類の内容が合致すれば為替手形の買取りを行う。原則として、輸出者の同意が無いと変更が出来ない取消不能信用状(Irrevocable L/C)が発行される。

信用状統一規則(UCP, The Uniform Customs and Practice for Documentary Credit)

円滑な貿易取引のために信用状(L/C)に関する取扱いや用語の定義などに関して定めた規則。正式には、荷為替信用状に関する統一規則および慣習という。国際商業会議所(ICC = International Chamber of Commerce)が1933年に制定し、現在の最新バージョンは2007年に改訂されたUCP600である。

推定全損(Constructive Total Loss)

現実全損(Actual Total Loss)と並ぶ全損の概念のひとつ。保険の対象である貨物が完全な滅失には至っていないものの、修理、輸送等の費用が貨物の価額を超え、修理しないほうが得策と考えられるため全損認定をする場合のこと。解釈全損ともいう。

スキッド梱包(Skid, S/D)

角材で組まれた土台の上に貨物を据え付ける簡易な梱包方法。

ステベ(Stevedore)

輸出貨物の本船への積み込みや輸入貨物の本船からの陸揚げを行う業者。ステベドアの略。

ストラドルキャリア(Straddle Carrier)

コンテナ専用の輸送用機器。上に縦長の長方形型の車体内にコンテナを縦に最大4本重ねて収納することが出来、ゴムタイヤで自走する。輸入されるコンテナは、岸壁に接岸した本船からガントリークレーンで下ろされた後、ストラドルキャリアでコンテナヤードへ運び、コンテナヤードからコンテナを外へ搬出する際も、ストラドルキャリアでシャーシまで運ぶ。逆に輸出されるコンテナはコンテナヤードから岸壁のガントリークレーンのもとまでへ運ぶ。目的のコンテナの場所まで自在に動いて移動する必要があるため、運転席は進行方向ではなく、真横が見える方向に設置されている。

スルーB/L(Through Bills of Lading, Combined Bill of Lading)

複数の運送業者が貨物を分担して輸送するにもかかわらず、単一のB/L(船荷証券)で荷受地から最終目的地までカバーするB/Lの一種。各運送業者間で事前に特約を締結しておくことにより、最初に荷主から貨物を受け取った業者が最終目的地まで有効なB/Lを発行することが出来る。

税関(Japan Customs)

財務省所管の行政機関。輸出入時の検査、取り締まり、関税等の徴収、貿易統計の作成などを行う。函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、長崎、沖縄の9税関が設置されている。

税関検査(Customs Inspection)

税関にて、輸出または輸入しようとする貨物が申告書の内容に合致するか、貨物が法律で定められた基準に適しているか、品目分類や関税額が正しいかなどを確認すること。税関検査には、検査が行われる場所によって現場検査検査場検査などがあり、また検査する対象によって見本検査、一部検査、全量検査などがある。全量検査の場合は、検査場までの横持ち費用など多額の費用が発生することがある。以前は貨物を開梱して調査していたが、最近は主にX線を利用した検査が行われている。

税関手続申請システム(CuPES, Customs Procedure Entry System)

税関へ電子申請を行うためのシステム。2010年にNACCSに業務を移管し、廃止された。

税番(H.S. Code, Harmonized Commodity Description and Coding System, Tariff Code)

輸出入統計品目番号

税率(Tariff, Rate of Duty)

税額を算出するために用いられる比率。税の種類によって税額算出の基礎になる課税標準が、価格の場合と数量の時がある。

セーフガード(Safe Guard)

海外からの輸入が急増した特定の品目に対し、国内産業保護の観点から、政府が割増関税を課し、輸入量を制限すること。緊急関税参照。

世界税関制度(WCO, World Customs Organization)

各国の関税制度の効率的な運営を目指し、1952年に設立された国際機関。
ベルギーのブリュセッルに事務局があり、2014年現在179の国及び地域が加盟している。

世界貿易機関(WTO, World Trade Organization)

自由で公正な貿易を促進するために国際通商に関するルールを協議する国際機関。スイスのジュネーブに事務局がある。1995年に前身のGATT(ガット、関税と貿易に関する一般協定)を引き継ぎ成立した。 WTO協定の一つであるDSU(Understanding on Rules and Procedures Governing the Settlement of Dispute, 紛争解決に係る規則および手続きに関する了解)にて貿易に関して生じた加盟国の紛争解決手段が規定されており、多数の案件が処理されている。2014年現在、主な非加盟国に、北朝鮮、ソマリア、東ティモール、エストリア、ツバル、コソボ、南スーダン、トルクメニスタン、パラオ、モナコ、サンマリノ、キリバス、ミクロネシア、クック諸島、マーシャル、ナウルなどがある。

絶対全損(Actual Total Loss)

現実全損参照

全危険担保(All Risks, A/R)

オールリスク参照

船籍証明(Flag Certificate)

船の戸籍である船籍(国名)が記載された証明書。船会社が発行する。

倉庫渡し条件(Ex-Godown)

輸出向けの貨物の取引に多用される売買条件の一つで、売主は買主の指定する倉庫(通常は仕出港の近く)までの運賃とリスクを負担し、輸出通関の手配は買主が行う。Godownは倉庫の意。Ex-Godown Kobeであれば、売主が神戸地区の倉庫に貨物を搬入する条件。